恥ずべきこと
ワタシは毛皮を着ない。毛皮で飾られた洋服も着ない。小物も使わない。
ダウンも着ない。羽毛布団も使わない。
今のワタシを知る人は「Kimmyサンらしいよね」と苦笑するだろうか?。
とても恥ずかしい話だが昔は着たり使ったりしていた。
誰にでも昔を思い出した時にこっそりと顔を赤らめてしまうようなことは
あるだろう。
きっとワタシは世間様の平均値を軽く越えて思い出して顔を赤らめっぱなしに
なるだろう。冬になるとその中から「恥ずかしい」を通り越して居た堪れない気分に
なる幾つかのことを思い出す。
子供の頃ウサギの毛皮の襟巻きが流行っていた。
生きたウサギと縁のなかったワタシはその毛皮がウサギのものだったという事は知っていたが、周囲の子供達と同様にデパートなどにお出かけする時にそれを巻いていた。
同じく白い兎の毛皮を使った赤いバックスキンでトリミングされたバッグも持っていて
デザインが可愛くて襟巻きと一緒に使っていた。
二十歳になる頃マリリンモンローの映画で観た毛皮の襟巻きに憧れた。
キツネだかミンクだかの毛皮の種類は解らなかったが憧れて成人式には
銀狐の襟巻きを巻いて行った。
若いだけがとりえのムスメさんだった頃バブルが今や弾けんとする時代だった。
ワンレンボディコンが流行っていて今思い出しても別の意味で恥ずかしくなる様な
格好で夜な夜な街を闊歩していた。
ある日いつものように友達と夜遊びに出かけた。
冬の寒い日だったのでボディコンシャスなスーツの上にミンクのコートを着ていた。
男友達の一人がワタシに聞いた。
「そのコートって暖ったかいの?」
「きまってるでしょ」と答えるワタシ。
「そんなに暖ったかいなら何でライナーにしないの?その方がよっぽどアタマいいぢゃん」
。。。。。目からウロコだった。
思い出す度に恥ずかしくなるのだが、その位ワタシは馬鹿だ。
その後、ワタシがコートや襟巻きを封印したのは言うまでもない。
それから何年か経って、またもや冬の日にワタシは友達と出かけた。
寒かったのでMA1を着ていた。
すると友達が「それって犬の毛皮って知ってた?」と責めるように聞いてきた。
知らない。知ってたら着てない。。。
ってか、こんなボサボサの毛皮ってフェイクなんぢゃないの???
友人曰く、防寒用で消耗品なので、その手のモノには犬猫の毛皮を使うのだそうだ。
犬との暮らしにハマり始めていたワタシにとって、それは物凄くショックな話だった。
知らない。と言うことはオソロシイ。
知らなかった。では済まないコトはきっとこの世の中には沢山あるだろう。。。
ショックを受けて、ワタシは少しだけ考えるようになった。
それからまた何年か経った冬、お世話になっている先生が来日されたので
レッスンを受けに行った。
一緒に行った知人のレッスンがメインだったので、ワタシはフェイクファーで
たっぷりとトリミングされた暖かいカーディガンを着てビデオを撮っていた。
すると先生が寄ってきて「Kimmy、ステキなカーディガンね。本物???」と聞かれた。
スタッフと雑談していた時にその話をすると、スタッフの一人が大笑いして
「本物着てたらココに来れませんよね」と言う。 そりゃ、そうだ(笑)。
敬愛するプリンスは数年前PETAに最もセクシーなベジタリアンと評されたが、
最近では「ウール」も拒絶するらしい。
ユージ君にそれを言うと「Typical celebrity」と皮肉タップリに言われた(苦笑)。
でも、ワタシも最近ニットをあまり着ていない。
ワタシがニットを着ないのは犬達のツメが引っかかるし、フリースの方が手入れが
ラクだからなのだが。。。(苦笑)。
犬と暮らし始めて、自分の生活を取り巻く色んなコトが変わった。
犬と暮らし始めて、それまでは気づかなかった色んなコトを知った。
そして、誰かの痛みや命について考えるようになった。
今のワタシにとって、毛皮は暖かくて、時々汚れて、臭くなって、手入れが大変で(笑)
それでも抱きしめるとやっぱり暖かくてホッとする存在。
そして、水鳥達は季節を教えてくれる存在。
毛皮やダウンは確かにアナタを暖めてくれるだろう。
アナタを美しく飾ってくれるだろう。
だが、アナタの快適や美の為に犠牲は必要なのだろうか?
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